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人は死ぬ前に何を思うのか?

今回は個人的な話。スティーブ・ジョブスが、かつて生死を彷徨った経験があるとStanford Universityで行われた『TedTalk』のプレゼンで見たことがある。

私も、24歳の頃に、死にかけたことがある。

ある日突然髄膜炎にかかり、生死の境を彷徨った。

発症してから3日以内に死ぬ可能性が高いことが、医者から家族には告げられたという。私にはそれは告げられなかったが、こればかりはあら不思議。自分の体が死ぬ時は、自分で分かるもので、私はなんとなく死にゆくことを誰に言われなくても感じていた。

その時に体験した大きな感情のうねりは、筆舌に尽くしがたい。

「人は死ぬ前に何を思うのか?」

臨死体験をした人は他にもいると思うが、私の経験をここでシェアしたいと思う。

死ぬ前に思うこと。

1日ごとに、異なる感情に変化していきその間に3段階の感情の波が押し寄せる。

・1日目。第一の波:苦しみ、罪悪感

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「きっと、自分はこんな悪いことを過去にしたから、今こんなに若くして死ぬんだ。」と子供の頃に誰かに小さな嘘をついた、とか小さなこと、記憶の奥に封印していたような昔の記憶を全部、走馬灯のように思い出した。そしてきっとそれらの罪から、こんなに早く命を落とすのだと、自分を責める気持ちがやってくる。

・2日目。第二の波:願望

生きたい、どうしても死にたくない、生きたい。生へのしがみつき。

私が生きた記憶、証をこれまで知り合った人に持って欲しい、そんな願望で心がいっぱいになり、叶えられない現状に苦しむ。

この第一の波と第二の波はとても苦しいプロセスで、怒り、悲しみ、

絶望に涙でぐちゃぐちゃになる二日間だった。

・3日目。第三の波:受容

第一の波と第二の波が去ると、これがとても不思議なことだが、突然、ただ心に”平和”が訪れる。

インナーピース。死を受け入れられるようになる。湖のような静けさが訪れる。これは素晴らしい気持ちだった。人生やるだけやった、もうどうなろうが任せる。死ぬことを受け入れる、そして家族への感謝。関わった人々や、起こった事柄に感謝の気持ち。もしも生存できたなら、人の役に立つ生き方をしよう、そんなことも考えた。

これらの感情を1日ごとに体験して、

4日目、私は後遺症もなく生還した。

ーーー

このような生死をさまよう体験を経たので、それ以来、私は余生を生かしてもらっている、思いきり生きよう、と思うことにしている。

病気から数年後、シンガポールに海外就職のチャンスが訪れたが、移住をすんなり運命の導きとして決心できたことも、おそらくこの経験があったからかもしれない。そこからの運命の大きな広がりと経験は、宝物となってきた。何カ国にも住み、働き、異なる文化や価値観を学んだことから、気づき・新しい視点を人々にもたらす“ストーリー・テリング“の仕事に至っている。

それでも、人生色々つまづいたり、やりたいことを本当に思い切りやっていいのかと迷ったり、うじうじと小さいことに悩んだりもする。

今思うのは、「それが人間なんだ」ということ。

生きている限り、誰でも悩む。死ぬような経験をしても、まだ、カオスのような感情や欲、苦しみの渦に巻き込まれて我を失うこともある。そして、そんな弱い自分も受け入れられて弱さを内包した強さを身につけられたら、最強な気がする。

「今日が最後の1日だ。」と思って行動することは難しいけど、“今“が永遠に続かないことを前提に、自分の心に正直に、“思い切り“生きれば、後悔が少ない人生になるのではないか。

そんなことを思う、今日この頃。

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